在来軸組工法で耐震性の高い家を建てる——地震に強い家づくりのポイントを解説
目次
「在来軸組工法で建てた家は、地震に弱い」――そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。確かに、在来軸組工法は日本の伝統的な木造建築法であり、昔ながらのイメージが先行しがちです。
しかし、現代の在来軸組工法は進化しています。接合部や耐力壁、構造設計、使用する材料などを工夫することで、非常に高い耐震性能を持つ家づくりが可能です。
本記事では、在来工法の基本から、耐震性を高めるための工夫、そして最新の工法・建材を活用した実践的なアプローチまで、わかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 在来軸組工法の耐震性が高められる理由
- 最新技術を取り入れた耐震強化の方法
- 工務店・設計士の視点から見た高耐震住宅のつくり方
在来軸組工法は柔構造を活かした耐震性が強み
日本の伝統的な木造住宅工法である「在来軸組工法」は、柱と梁を軸に構成される“軸組構造”であり、地震の揺れに対して「しなやかに耐える」柔構造が特長です。剛構造のように力を一点で受け止めるのではなく、力を受け流すように分散し、建物全体で揺れを吸収することができます。
近年では、壁量を確保したり、金物による接合強化、耐力壁の適切な配置などによって、「柔構造 × 高強度」な設計も可能になり、在来工法ならではの耐震性はさらに高まりつつあります。
また、地震だけでなく、風荷重や積雪荷重といった複合的な外力にも柔軟に対応できる設計の自由度も在来工法の大きな魅力です。
構造の柔軟性が地震エネルギーを吸収する
在来軸組工法は、柱・梁・筋交いなどで構成された木造のフレーム構造です。この構造は柔軟性が高く、地震の揺れに対して「しなり」でエネルギーを吸収し、全壊を防ぎやすい特性があります。
接合部の強化で耐震性能は大幅に向上
伝統的には仕口や継手で組み上げる工法ですが、金物接合やプレカット加工を導入することで、接合部の剛性・耐力を飛躍的に高めることができます。特に近年は、構造計算に基づいた設計が一般的になっており、根拠ある耐震対策が可能です。
壁の配置と量が重要な耐震要素になる
耐震等級を確保するためには、バランスの取れた耐力壁の配置が欠かせません。建物の短辺方向と長辺方向の両方に耐力壁を確保し、上下階の壁の位置も揃えることで、ねじれや偏心を抑え、揺れに強い構造を実現します。
技術革新によって在来工法は進化している
「在来軸組工法」と聞くと、昔ながらの木造住宅を思い浮かべるかもしれません。しかし近年では、技術の進化によりその常識が大きく変わっています。
たとえば、国交省が定める「壁量計算」に加えて、より高度な構造計算(許容応力度計算)や接合部の強度検証を行うことで、建築基準法以上の安全性を担保することが可能です。
また、構造用パネルの導入や、金物工法、断熱材の高性能化により、耐震性と断熱性を両立した在来工法住宅が続々と登場。リアルウッド建材が提供する「DUAL-MAXパネル工法」もその代表例です。
現代の在来工法は、**「伝統 × テクノロジー」**の融合によって、より快適で、より安全な住まいづくりを可能にしています。
耐力壁パネルの活用で壁倍率を強化
耐震性能の確保には、壁の強度を示す「壁倍率」が重要です。従来の筋交いでは1.5倍〜2.0倍程度が限界でしたが、専用の耐力壁パネル(例:i-Panelなど)を使えば5.0倍の壁倍率を実現可能です。これは構造自由度を高め、狭小地や開口部の大きい住宅でも耐震性を確保できる手段です。
金物工法とパネル工法のハイブリッド化
在来工法に金物工法やパネル工法を組み合わせることで、従来よりも強固かつ施工効率の高い住宅を建てることができます。これにより、耐震性だけでなく、コストや工期にも配慮した設計が可能になります。
制振部材の追加で揺れの繰り返しにも強く
繰り返し起こる地震動に対応するためには、制振ダンパーや制振金物の導入も有効です。これらの部材が揺れを吸収し、建物全体へのダメージを抑えてくれます。
材料と設計で耐震性は大きく変わる
在来工法の耐震性を高めるうえで鍵となるのが、使用する材料の品質と、構造設計の適切さです。
たとえば、構造躯体には含水率の低い乾燥材(KD材)を使用することで、経年による変形や収縮を抑え、接合部の緩みを防ぎます。また、耐力壁には高強度な構造用合板やパネルを使用することで、地震時の揺れに強い構造を実現できます。
設計面では、耐力壁のバランス配置が重要です。偏りのある配置では、建物がねじれるように揺れ、倒壊リスクが高まります。**「耐力壁の配置」「接合部の強度設計」「屋根の軽量化」**など、総合的にバランスの取れた構造設計が求められます。
つまり、在来工法の耐震性は、素材と設計の両輪で支えられているということです。
耐震・断熱・気密を統合した設計が主流に
近年の高性能住宅は、耐震性能だけでなく、断熱性・気密性・省エネ性能も重視されています。これらを同時に成立させるためには、部材選定やパネル設計の段階から構造との連携を考える必要があります。
地盤調査や基礎設計も忘れてはならない
どれだけ耐震性の高い構造を選んでも、地盤の強度や基礎の設計が不十分では意味がありません。事前の地盤調査と、地盤に適した基礎工法(ベタ基礎・布基礎など)の選定が、耐震住宅の基本となります。
リアルウッド建材の取り組み:在来工法に革新を
私たちリアルウッド建材は、在来軸組工法に“現場の革新”をもたらすことを使命としています。
伝統的な工法の魅力を活かしながら、**断熱性・耐震性・施工性を同時に高める「DUAL-MAXパネル工法」**を開発。これは、耐力壁・断熱材・下地材を一体化したパネルを用いることで、現場の施工負担を大幅に軽減しながら高性能住宅を実現する新たな手法です。
さらに、熟練工の技術に頼らずとも、**安定した品質の住まいを誰でも施工できる「しくみ化」**を進めることで、職人不足や工期短縮などの社会課題にも対応しています。
在来工法は決して過去の工法ではありません。私たちは、「本当にいい家」を、誰もが手にできる“当たり前”に変えるために、これからも技術革新を続けていきます。
DUAL-MAXパネル工法で耐震性をシステム化
リアルウッド建材が開発したDUAL-MAXパネル工法は、在来軸組工法の自由度を活かしながら、工場生産された高性能パネルで構造の安定性を確保します。最大5.0倍の壁倍率や高断熱材を備え、耐震性・断熱性・施工性の三拍子を同時に実現する次世代の家づくりを可能にしています。
職人不足にも対応できるパネル設計
現場施工に依存しがちな在来工法ですが、パネル化することで施工のばらつきや品質の不均一を防止。工期短縮や人手不足対策にも有効です。特に狭小地や変形地でも柔軟に対応できるカスタム設計が強みです。
まとめ
在来軸組工法で耐震性を確保するには、構造の基本を理解し、最新技術を組み合わせることが鍵です。
この記事でわかること
- 在来軸組工法は柔構造により地震のエネルギーを逃がす仕組みがある
- パネルや金物工法、制振部材の併用で耐震性は大きく向上する
- リアルウッド建材のDUAL-MAXパネル工法は、高耐震化と品質安定を両立できる工法
注文住宅を建てる一般の方にとっても、工務店の設計士にとっても、「在来工法=地震に弱い」というイメージはもう過去のもの。現代の在来軸組工法は、安心・快適な暮らしを支える選択肢として十分に頼れる存在です。