断熱等級7を実現するには?対応可能な断熱材の種類と選定ポイントを解説
2022年に改正された省エネ基準により、新たに「断熱等級6」「断熱等級7」が創設されました。これまで等級4が最高等級とされてきた住宅性能評価において、断熱等級7は“最高レベルの断熱性能”を示す新たな基準となっています。
国のカーボンニュートラル政策や、住宅の高性能化を求める声の高まりを背景に、断熱等級7を目指した住宅づくりが注目されています。特にその実現には、「適切な断熱材の選定」が不可欠であり、断熱材の性能が等級到達の成否を分けると言っても過言ではありません。
では、断熱等級7に対応する断熱材とはどのようなものか?どんな性能指標を見ればよいのか?どんな素材を選べば安心なのか?
この記事では、これらの疑問に答えるべく、「断熱等級7の基本」と「対応する断熱材の種類・選び方」について、専門的な視点からわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 断熱等級7とは何か、どのような性能基準か
- 断熱等級7に対応する断熱材の種類とその特徴
- 低品質な構造用パネルによって発生しうるリスク
- 住宅性能向上のために重要な断熱材選定のポイント
断熱等級7とは何か―これまでとの違いと住宅性能の基準
断熱等級7は、2022年の基準改正により新たに設けられた“最高水準の断熱性能”を示す指標です。
これまでの等級4・等級5を大きく上回るレベルであり、住宅の快適性や省エネ性を飛躍的に高めることができます。この章では、従来の等級との違いや、具体的な性能基準、背景となる政策動向について整理します。
断熱等級7は、現行最高等級の断熱性能を示す指標
2022年4月に施行された改正省エネ基準により、「断熱等級6」と「断熱等級7」が新設されました。断熱等級7は、現時点で最も高い断熱性能を有する住宅の指標であり、極めて優れた室内の温熱環境を実現する住宅にのみ与えられる等級です。
これにより、これまで“最高等級”とされていた等級4(長期優良住宅の基準)を大きく上回る断熱基準が登場したことになり、住宅設計・建材選定の常識もアップデートが求められています。
断熱等級6との違いは?地域区分ごとのUA値にも注目
断熱等級6と7の違いは、UA値(外皮平均熱貫流率)の厳しさにあります。例えば、比較的温暖な6地域(関東以西)での基準を見てみましょう。
地域区分 | 等級6のUA値基準 | 等級7のUA値基準 |
6地域 | 0.46 W/㎡・K | 0.26 W/㎡・K |
断熱等級7は、等級6に比べてさらに約43%も厳しい断熱基準が課せられており、断熱材・サッシ・躯体すべてにおいて高性能が求められます。
断熱等級7が求められる背景―カーボンニュートラルと住まいの快適性
国が2050年カーボンニュートラルを掲げる中で、住宅の省エネ化は最優先課題の一つです。特に既存住宅と比較して、一次エネルギー消費量を大幅に抑えられる断熱等級7の住まいは、脱炭素社会の実現に直結する性能基準となります。
また、断熱性を高めることでヒートショックの予防や冷暖房費の削減といった暮らしの快適性にも大きく貢献します。
断熱等級7を実現するには、高性能な断熱材の選定が不可欠
断熱等級7を実現するためには、断熱材の性能が住宅全体の断熱性能を左右する重要な要素となります。
ただ厚みのある断熱材を入れるだけではなく、熱伝導率の低い高性能素材を選び、気密性や施工精度とのバランスを考慮することが不可欠です。この章では、断熱材の選び方や注意すべきポイントを解説します。
断熱材の種類と特性―選ぶべきは「λ値が低く、厚み確保が容易」なもの
断熱材には様々な種類がありますが、断熱等級7に対応するには熱伝導率(λ値)が低い素材を選ぶ必要があります。代表的なものには以下のような断熱材があります。
- 高性能グラスウール(λ値:0.035~0.038 W/m・K)
- フェノールフォーム(λ値:0.020~0.024 W/m・K)
- 硬質ウレタンフォーム(λ値:0.024~0.028 W/m・K)
- 真空断熱材(VIP)(λ値:0.005~0.008 W/m・K)※施工の難しさに注意
λ値が低ければ低いほど断熱性能は高く、必要な厚みも抑えられます。
特に天井・床下・壁内での施工スペースが限られる場面では、薄くても高性能な断熱材が有利です。
素材の耐久性・吸水性・安全性もチェックポイント
断熱材を選ぶ際は性能数値だけでなく、耐久性・吸水性・防火性・施工性などの観点も忘れてはなりません。たとえば、
- 湿気を吸いにくく、断熱性能の劣化が少ない素材
- ホルムアルデヒドを含まない安全性の高い素材
- 難燃性が高く、火災時の安全性が確保されていること
などが評価の基準となります。“数字に強い素材”だけでなく“長持ちする素材”を選ぶことが、結果的に住宅全体の性能を底上げします。
断熱材の性能を最大限に引き出す設計・施工の工夫
断熱等級7の基準をクリアするためには、断熱材そのものの性能だけでなく、現場での設計・施工の工夫も極めて重要です。
どれほど高性能な断熱材を使っても、気密性や納まりに問題があれば、本来の効果を発揮できません。設計段階から熱橋対策や継ぎ目の処理、気流止めの工夫などを織り込み、断熱材の性能を最大限に活かすことが求められます。
断熱材の厚みを確保するための躯体設計が重要
断熱等級7を達成するには、単に高性能な断熱材を選ぶだけでなく、十分な厚みで施工できる設計が不可欠です。特に壁厚・天井裏スペースの確保や、構造との干渉を避ける工夫が必要です。
リアルウッド建材では、厚み・納まり・気密性を一体化して考えた構造設計支援を行っており、断熱等級7仕様でもスムーズな設計が可能です。
断熱材と気密性・防湿層の連携もセットで考える
高断熱と同時に、気密性と防湿層の正確な施工がセットで求められます。いくら断熱材の性能が高くても、隙間や結露によって性能が大きく低下する恐れがあるためです。
リアルウッド建材では、断熱材選定+気密・防湿設計のパッケージ提案を行い、設計から施工管理まで一貫してサポートする体制を整えています。
リアルウッド建材が提案する断熱等級7仕様の住まいづくり
リアルウッド建材では、断熱等級7に対応する高性能な断熱材・構造部材を取り揃えるとともに、施工者が現場で使いやすい「工期・精度・コスト」のバランスが取れた提案を行っています。
たとえば、断熱材と構造用パネルが一体化した「DUAL-MAXパネル」は、断熱等級7への対応だけでなく、気密性や施工効率も含めて高く評価されています。
また、設計事務所やビルダーと連携したUA値シミュレーションや外皮計算支援も可能で、実現可能性の高い提案をワンストップで提供しています。
まとめ
断熱等級7は、これまでの住宅性能の常識を覆す、極めて高い断熱水準です。エネルギー消費の削減や室内の快適性向上だけでなく、健康維持や長寿命化住宅の実現にも寄与することから、今後の住宅づくりにおける新たな基準となることは間違いありません。
しかし、断熱等級7を実現するには、ただ高性能な断熱材を使用するだけでは不十分です。材料の選定に加え、熱橋を避ける設計、精度の高い施工、気密性の確保といった建築全体の総合力が求められます。これらを一貫して実現するためには、パートナー企業の選定や、工務店・設計士の技術的なサポート体制の整備も不可欠です。
リアルウッド建材では、これまでの経験とネットワークを活かし、断熱等級7に対応した部材提案から、設計・施工の支援まで、トータルで住宅の高性能化をサポートしています。これからの時代に求められる「真に快適な住まい」を実現するためにも、断熱等級7を視野に入れた住宅計画が重要です。
この記事のまとめ
- 断熱等級7は、ZEH水準を超える最も高い断熱基準であり、次世代住宅のスタンダードとなる。
- 高性能な断熱材の選定と正確な施工が断熱等級7の実現には不可欠。
- 設計段階での熱橋対策や気密確保など、断熱性能を最大限に活かす工夫が求められる。
- 長期的には光熱費の削減や居住快適性の向上など、多くのメリットが期待される。
- リアルウッド建材では、断熱等級7対応の製品・工法提案を通じて高性能住宅づくりをサポートしている。

監修者: 谷口 伸太郎
1964年、滋賀県大津市南志賀に生まれる。近江神宮にほど近い自然豊かな環境で幼少期を過ごし、木と建築への興味を育んできた。建築業界での経験を重ねる中で、現場の属人性や職人不足による施工品質のばらつきという課題に危機感を覚える。高性能で安定した品質の住宅づくりをサポートしたいという想いから、2006年、リアルウッド建材を設立し代表取締役に就任。断熱・耐震・施工性を兼ね備えたDUAL-MAXパネル工法を開発し、高性能住宅をより多くの方に届けるために日々奮闘している。保有資格:二級建築士。